日時: 2024 年 8 月 09 日(金夜)~ 12 日(月祝)
参加者:3名
天候: 晴れ
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【8/10】本日は、ゆっくり目に出発。事前情報で取付き地点対岸まで夏道をたどれるとのことでアイゼン、ピ ッケルは置いていき、チェーンスパイクとストックで行くことにした。剱沢キャンプ場に到着後下見に向かう。 ピンクのテープを頼りに進む。途中崩れている箇所があり、その下に雪の空洞がぱっくり口を開けている。足 を滑らせたら吸い込まれそうな無気味な雰囲気。慎重に通過する。標高差にして約 400m 下ったところで取付き 点対岸に到着。これで翌日の暗い中で迷う心配は無い。キャンプ場に戻り、本日の夕食は油麩のすき焼き風煮。 登り返して空いたお腹に染み渡る。
【8/11】2 時起床。装備を整え、3 時過ぎ出発。満点の星空、頭上を東西に天の川が流れている。ペルセウス座 流星群極大期であり、時々流れ星が視界に入る。前日確認した取付き点に到着したころには夜もすっかり明け、 ヘッデン無しで行動できるようになった。チェーンスパイクを付けて雪渓を渡り、ここからいよいよ登攀開始。 針葉樹の枝の間を潜り抜けるように這い上がると、行き先で渋滞が発生している。順番待ちして上がってみる と、5m ほどの垂直壁に出くわす。なるほど、ここは緊張する。下が切れ落ちており、失敗したらアウト。クライミング力が試される場面だった。その後視界も開け、遠くに剱沢キャンプ場が見渡せる。I峰を見上げる大 岩壁に圧倒される。途中広くなった場所では右か左かどこを登るかル ート取りに迷う。ルーファイ力の問われる箇所にいくつか出くわす。 スカッと晴れ渡った夏空は気持ち良いが、日差しが強く、先の見えな い登りを繰り返しているうちに少しずつ体力が奪われ、気持ちも徐々 に追い詰められてくる。ようやくI峰に到着。見晴らしは良く、隣に 八ツ峰の岩峰群が見渡せる。行く先にII峰、本峰を見上げる。しかし ここから鞍部への激下り。せっかく登ったのに。下ってまた岩壁を よじ登り、なんとかII峰に到着。頂上は一枚岩で広く、360°遮るもの が無い。懸垂下降ポイントに到着。順番待ちでごった返している。こ のあたりから水の残量が気になってくる。待ち時間 30 分ほどで下降を開始。支点は 2 か所あり、我々はペツルのハンガーとリングのセットが 2 点設置された支点を使用。30m W ロー プを 2 本つないで下までスムースに下降した。ここからは、ザレ場をひたすら本峰を目指して上がっていく。 終始足元が不安定で落石を起こさないよう、自分が滑り落ちないよう神経をすり減らしながらの登攀だった。 日陰が一切なく、岩も熱気を帯び、照り返しの灼熱の中、体力がどんどん奪われていく。近くの登山者と声を 掛けあいながら格闘すること約 1 時間半、やっと山頂の祠が見えた時はようやく終わったことに安堵した。3 人 で無事の登頂を祝った。写真撮影や近くの登山者と会話し、休憩の後、下山開始。ここからも長く、険しい道。 すでに水は底をつきかけている。途中、富山県側に発生している霧の中を通過時は蒸し風呂状態。息をするの もつらい。長野県側に出ると清涼な風が吹き上げてきて、思わず休憩を取る。鎖場は切れ落ちており、足の置 き場所に神経を使う。下山なのに何度か岩壁を登る場面があり、まだ登らされるのと気が滅入る。スピードは もう出ない。無くなりかけている水を小分けに口に含みながら、止まらないように歩を進めるのが精いっぱい。 何とか剣山荘に到着。コーラを一気に飲み干した。キャンプ場に到着し麓で待機していたAに迎えられた。当 日は TJAR 開催日とのことで、何人かの選手と会話したとのこと。本日の夕食はソーセージと野菜のスープ。野 菜の旨みたっぷりのあっさりした味が疲れた内臓に染み渡った。
【8/12】事前予報とは打って変わって晴れた気持ちの良い朝を迎える。朝焼けの剱をぼーっと眺める。ゆっく り朝食を取っていると、6:30 のラジオ体操放送が流れ始め、みんなで行う。前日痛めつけた身体が少しほぐれ た。荷物をまとめて出発。背後にそびえる剱岳を名残惜しみつつキャンプ場を後にした。これ以上は無いとい う天候に恵まれ、いろんな要素があり、経験の積めた山行となりました。
<特記事項>バリエーション初心者向きルートと言われるが、それなりのクライミング力、体力、ルーファイ力が要求される。ルート状況の事前調査とトレーニングを積んで臨む必要がある。
<ヒアリハット>特に無し。