日本屈指の美渓と天国のような稜線を楽しむ「赤木沢」 2019.9.13.-16.

山行部

日程:2019年9月13日(金)-16日(祝)
メンバー:会員8名
天候:晴れ

<アクセス>北陸道飛騨清見IC~有峰林道~折立
<コースタイム>9/14 折立7:45→太郎平11:45→薬師沢小屋14:20
        9/15 薬師沢小屋5:20→赤木沢出会7:00→大滝9:00→源頭部11:30→ 赤木岳直下の稜線12:00→13:58太郎平→折立17:10

例会立案から4年。悪天候によって入渓を拒否し続けた赤木沢が遂にその扉を開く時が来た!
薬師沢小屋は超満員。約100名の宿泊者のうち半数が赤木沢遡行だという。薬師沢出会に建つこの小屋は夕方になると肌寒いくらいだが、我々8名の寝床は4人用の蚕棚。布団1枚に2名の計算で、狭い部屋は人いきれで暑いくらいだ。僕とN隊員はひとつの布団で肩を寄せ合い熱い夜を過ごした。
9月15日は、4時起床。他のパーティーは6時出発が多かったが、我々は積年の熱い思いを抑えられず5時20分夜明け前の黒部川に突入した。しかし、沢の水は痺れるほどに冷たく、長く水につかることが出来ない。我々は入水を避けるべく川岸の藪に再三高巻き時間を要したが、先日の小窓尾根で決死の藪漕ぎを経験したO隊員にとっては「これは藪じゃなーい」と涼しい顔。
日が昇り、気温も上昇してくる頃になると、後続のパーティーが次々と追いついてきた。若いパーティーに追い越されても、なぜか落ち着く我々”ヘナチョコ山行部”は「お先にどうぞ」がモットーだ。
黒部川本流から赤木沢に入ってすぐ、隊員の一人が支流のウマ沢方面へハーネスを外しながら入っていったので、我々はここで大休止をすることにした。すっきりとした表情で帰ってきた彼を迎えて我々は再出発した。これからウマ沢方面へ行かれる方は足下に注意していただきたい。
赤木沢は明るい清流に小滝や淵が続き心沸き立つ楽しい渓相だ。H隊員は青く光る水をたたえる淵を泳ぎ出した。別の淵ではK会長がクマモン(百均で買った浮き輪)を抱えて泳ぎ、クマモンの有効性が立証された。
赤木沢を詰めて中俣乗越方面へ行くのが通常ルートだが、我々は、H隊員が提案したひとつ手前の支流を詰めることにした。沢の源頭部からは沢の音は消えて静寂の世界。東向きの斜面には草原が広がり、点在する白い露岩が日の光を浴びて輝いている。稜線の向こうには青空が広がり、これこそ天国と思わせる風景だ。時折聞こえてくるのは、そよ風が草をなでる音と神戸中央のバカ笑いのみ。
赤木岳直下の稜線に出る手前で、我々は大休止をして、みんなで大の字に寝転んだ。K会長の丸4年に及ぶ執念よって、遂に、赤木沢が我々ヘナチョコ山行部の軍門に降った瞬間だ!
大の字になって東側を眺めれば、左手にはたおやかな稜線を従えた薬師岳、正面に水晶岳とその右手には鷲羽岳。黒部五郎は雲に隠れてはいるが、どの山も我々を引きつける優美な姿だ。あまりの気持ち良さに僕は「こんど来たときはみんなで野糞をしよう」と提案したが無視された。
稜線に出ると、西側には一面の雲海で東側とは好対照。東側では、さっきまで見えなかった剣岳が薬師岳の奥に見えてきた。雲の切れ間からは槍ヶ岳も見えるではないか。N隊員「この景色は写真には収め切れない」と言い、僕は「心のフィルムに収めて下さい」と言った。今度は褒められた。
天国のような風景に心が満たされた我々は、雲上の稜線を太郎平へと急いだ。
なぜなら、太郎平小屋の食堂が2時に閉まってしまうからだ。黙々と歩く我々の頭の中は、ネパール風カレーや太郎ラーメンのことでいっぱいだった。