阿弥陀岳 北西稜

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北海道に寒気団が降りてくる天気予報の中、2年越しのバリエーション挑戦で北西稜を制覇。おめでとうございます。

【日 時】平成31 年2 月8 日(金)夜~2 月11 日(月) 雪のち晴れ
【参加者】 会員3名 

【一日目】2 月9 日(土)
赤岳山荘の駐車場でテントを張り出発時刻まで仮眠を摂る。
1 月の八ヶ岳集中登山で歩いたばかりの行者小屋までの道のりを再び荷揚げする。何度来ても辛い。
北西稜の取り付きに向かうポイントを経由するので位置を確かめておく。

【二日目】2 月10 日(日)
行者小屋(4:30)→阿弥陀岳(12:40)→中岳コル(13:15)→阿弥陀岳分岐(13:30)→行者小屋(13:50)
先日確認した分岐点まで引き返し、北西稜の取り付きへ向かう。GPS で現在地を確認しながら予定
のルートをトレースして行く。事前情報通り樹林帯の急登をラッセル、前日に降った積雪は膝まで達している。特に迷うことなく稜線の端に辿り着くと風に叩かれた雪は固く締まっており歩きやすい。 森林限界が近くなってくると目の前に北西稜の岩峰が迫ってくる。それほど雪は付いてないように見えるが、全4 ピッチの北西稜取り付きに到着である。1 ピッチ目、リードのCL から無線連絡で結構難しいとの連絡があり、出だしから北西稜の厳しさが窺える。
程なくロープが流れ出し順調な様子、しかし50m あるロープが残り僅か。あと数メートルのところに終了点が見えるとの事だがロープが足りない。どうやら1 ピッチ目の終了点と飛ばし、2 ピッチ目終了点の手前まで登ってしまったようで、近くにあったピナクルに支点を構築し引き上げてくれた。そのまま2 ピッチ目の終了点に移動し、3 ピッチ目をスタートさせる。短いピッチではあるが、高度感のあるトラバースで、尾根の左側へ回り込むように通過するようだ。無線でビレイ解除のコールがあり、しばらくすると緊急事態発生の連絡。ビレイデバイスを落としてしまったとの報せ。一瞬緊張が走るが、別の方法で確保してもらい後続の我々も3 ピッチ目の終了点に到着。終了点はペツルハンガーに残置ロープが掛けてあり、ハンガーホール部分のロープは擦れて外皮が毛羽立っている。今すぐ切れそうという訳ではないが不安感を煽る。
最終ピッチは核心の凹角スラブが有り、アブミを使用し登っていく。昨年はCL 自作のアブミを使
って蓬莱峡で練習した事も良い思い出だ。このピッチを思い返してみると核心部の凹角よりも離陸部分がイヤらしい。一つ目のランニングを取った後は細いスタンスをトラバースし、凹角の下部に至る。凹角の奥まった隅に残置ハーケンが3,4 本打ってあり、スラブにはハンガーが設置されていてプロテクションは豊富にある。スラブはアブミが2 か所掛けられているので快適に登れたが、上部は上半身を稜部に載せ、足をずり上げていく様に登って行かなければならないようだ。苦労しながらも全員無事最終ピッチの終了点前に集結。コンティニュアスで登山道まで出た後は、阿弥陀岳に向けて歩くのみ。先月の北稜に続いて今年2 度目のピーク、どちらも眺望に恵まれた。下山時にCL が4,5Mほど滑り落ちるというヒヤリがあったが、大事なくテント場に到着し行者小屋で祝杯をあげた。

【三日目】2 月11 日(月)
予備日として設定していた本日は、行者小屋のテント場で目覚める。早めに下山できたのでゆっく
りと風呂に浸かり、美味い昼食にありつけた。色々とアクシデントはあったが、昨年の本例会中止から一年越しの目的達成。パーティ一同ホッとしたと同時に、次の山行に活かしていける貴重な経験を得たと思う。