日時:2021年12月10日(金)〜12月11日(土)
参加者:会員7名
天候:晴れ
アクセス:20:30 尼崎、姫路→26:00 菅の台バスセンター
コースタイム:ホテル千畳敷10:00→11:00 岩稜取付き→1時間待機後に退却
バスの始発が8:15 なので余裕をみて6:00 起床としていたが、切符売り場と乗車口には早朝から長蛇の列。前夜泊にもかかわらず、始発の臨時便には乗ることができなかった。
しかも、ロープウェイはゴンドラの故障のためか、1台のみのピストン運行になっていて、ここでも遅れが生じた。結局、ホテル千畳敷を出発したのは10:00 になってしまい、スタートからつまずいた格好だ。
実は、出発前にもちょっとしたトラブルがあったようだ。計画書で自分がSL に指名されたことを見たMoは、自分が先頭に立って登っていくと思っていたが、CL のSaがトップを行くつもりだと知って激怒したらしい。
2 人ともトップを譲りたくないという、まるでアルピニズムの黎明期「鉄の時代」に新ルートの先陣を争うクライマーのプライドを賭けたバトルのようだ。頼もしい限りである。
結局、1 班のトップをSa、2 班のトップをMoということで折り合いがついたようだ。
雪稜を登り始めてまもなく、メンバーの一人にアイゼン装着の不備があることが分かり、装着し直しのため一時休止。後発の3 人のパーティーに抜いて行ってもらった。
雪稜を登り始めて1 時間、岩稜帯に差し掛かって間もなく、先行したパーティーから「上が詰まっているからそこで待機した方が良い」と声を掛けられたので待機することにした。
ところが先行パーティーは一向に進まない。2 人目、3 人目が1 ピッチ目の出だしで難儀しているようだ。その上のパーティーも写真を撮ったりしながらのんびりしている。
我々も待っている間に、雪化粧の南アルプスとその奥の富士山など最高の景色を楽しんだが、さすがに長すぎる。快晴無風の絶好のコンディションとはいっても、じっとしていると体は冷えてくるし、モチベーションも下がってくる。下山後に食べる物のことばかりを考えていた。
後続のパーティーは待ちきれずに、ルートを変えて登って行った。しかし我々は未開の新ルートを開拓できる自信もなく、ひたすら待つ以外になかった。
1 時間も待たされ、12:00 を過ぎてしまった。ロープウェイの最終15:55 までに登頂して戻れるか検討の末、ついに撤退を決めた。
下山途中、原田さんが別ルートの偵察にちょっとだけ登り返して、尾根の左のルンゼを詰めたら上に行けそうだと分かったが後の祭り。初めてのルートでなかったら、途中で機転を利かせてルート変更できたかもしれないが、初見のバリエーションルートではなかなか決断できないだろう。
このコンディションで撤退するとは思いもよらなかった。思い返せば、出発前のCL とSL のバトル、バスの切符売り場の遅れ、ロープウェイの故障、アイゼン装着で未熟なパーティーに先を譲ったこと登山にはいろいろな不確実な要素があることを思い知った。
トップを争ったSaとMoさんの悔しさは如何ばかりだろうか。スパッと撤退を決断したCL に敬意を表したい。(Ke)